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【No.003】火花

この本について

 

お笑い芸人ピースの

又吉直樹によって書かれた中編小説である。

 

第153回芥川龍之介賞を受賞し、

2017年2月時点で、累計発行部数は253万部、文庫本は30万部となった。

芥川賞作品の中では歴代1位の累計発行部数である。

 

あらすじ

 

主人公の徳永はスパークスという芸名で芸人をしていて、熱海の花火大会で先輩芸人の神谷という人物と衝撃的な出会いをする。

 

そして、ひょんな事から徳永は神谷に弟子入りを申し出る。

神谷は

俺の伝記を書いてくれるなら、

いいよ。という条件で受け入れた。

 

天才肌で人情家の先輩芸人 神谷と

神谷に魅了されて弟子入りした徳永という芸人の物語。

 

感想

初めて純文学という物に自分から進んで触れたかもしれない。

純文学というのは、

娯楽性よりも芸術性に重点を置いている小説をいう。

本を開いて読み始めた瞬間に、

っあ、、これは、、文学や。。って思った。

 

物語の最初は慣れない文が並び、

読みづらかったが、読み進めるうちにそれが逆に心地よくも感じる事さえあった。

 

純文学初心者のミーハーな僕でも

十分に読みごたえがあった。

 

徳永と神谷の会話するシーンが多いが、

全体的にテンポが良く、おもしろいので

スラスラ読めた。

この辺に関しては、

さすが芸人が書く小説なだけあるな。と感じた。

 

そして、若手芸人の苦労がリアルに書かれていて笑顔を作る職人の大変さを感じた。

 

(影響されやすい僕は、この本に影響され

二日ほど前に吉本の若手芸人が出るライブを見に梅田まで行ってきました。

この話はまた今度。)

 

笑いの哲学

 

先輩芸人の神谷は

何よりも笑いを大切にする人物で、

笑いへのこだわりが強く

笑いという物に対する自分なりの考えを常に持っていた。

 

神谷さんに、そんな制限はない。周囲を憚らずに下ネタを言ってやったというアウトローとしての行為を面白いと思っているのではない。あくまでも、面白いことを選択する途中に猥褻な現象があっただけなのだから、それを排除する必要を微塵も感じていないのだ。

 

神谷流の笑いに対する哲学があった。

 

そして、それを徳永に伝授する。

 

 神谷さんが面白いと思うことは、神谷さんが未だ発していない言葉だ。未だ表現していない想像だ。つまりは神谷さんの才能を凌駕したもののみだ。この人は、毎秒おのれの範疇を越えようとして挑み続けている。それを楽しみながらやっているのだから手に負えない。自分の作り上げたものを、平気な顔して屁でも垂れながら、破壊する。その光景は清々しい。敵わない。

 

自分に無いものを持ってる神谷から言われる言葉は、徳永の心を動かした。

 

神谷の一見軽く聞こえる関西弁の中にも、

心に響くような深い名言がいくつもあり、

又吉の芸に対する姿勢や、思考の深さを感じる事ができた。

 

  

最後に

 

ほぼほぼ初めての純文学、

久々に

あぁ良い本に出会った、またいつか読もう

って思えた。

 

素直に楽しく読めた。

 

又吉は

本当はこんな芸人になりたかったんかなとか、

こんな先輩と出会いたかったのかなとか

もしくは、過去に神谷のような人と出会ってたんかな?とか考えた。

 

テレビで見る又吉からは想像のつかない一面を見れた気がする。

 

読み終わったあとの満足感もあったし、

複雑な感情もあるが、

心が温かくなった気がした。

 

11月23日に公開される映画【火花】も見に行きたい。

 

 

火花 (文春文庫)

火花 (文春文庫)